Yahooニュースを見ていた際、とあるコラムにて「積立投資は必勝法である」という記事を見ました。積立投資はお勧めの資産運用であることは間違いないですが、必勝法であるという考えは非常に危険です。積立投資のメリット・デメリットについて改めてまとめてみました。物事を成功する秘訣は本質を理解することだと思っています。
でないと長期投資ほど途中リタイアしやすいものはない!
そもそも積立投資って?
積立投資とは文字通り、金融商品(株や投資信託など)を定期的に購入していく手法です(毎月購入が一般的です)。積立投資は各メディアでお勧めされていますが、下記の点をメリットとしてよくクローズアップされています。
少額からの購入が可能
積立投資の場合、一気に金融商品を購入せずに徐々に分割して積み立てていくので、一回分は少額で済みます。もちろんその月の支払額を調整することも可能です(投資は余剰資金で行うことが第一ですので、積立額の調整は計画的に行いましょう)。
また、投資に不慣れな方は株価や基準価格(投資信託の株価です)の上昇下降に一喜一憂する可能性が高いです。”今が高いから売ってしまおう!“、”暴落しているから今のうちに損切りしてしまおう“、これらは積立投資でやってはいけないタブー(理由は後述)なので、これらを避けるマインドを手に入れるまでは少額の方がいいでしょう。
購入時期のリスクの分散が可能
株価や基準価格は常に変動します。安い時に購入して高い時に売却するのがベストですが、いつ下がっていつ上がるかを予測するのは非常に困難です。そのため、”何回かは暴落があるだろうが、数十年後は上がっているだろう”、という予測をもとに淡々と購入し続けるのが積立投資です。ですので購入時の価格が高いか低いかを考える必要はあまりありません(つまり、淡々と購入することで購入時期によるリスクが平均化されます)
たまに、積立投資だって安い時に買った方がいいだろう!という意見も散見されます。細かく言えばそうなのですが、積立投資の掛け金は少額であるため、短期の値下がりに合わせて購入してもあまりメリットはありません。それより複利効果を得られる長期期間の投資の方がメリットが大きいです。
銘柄のリスク分散が可能
積立投資は原則投資信託(たまにETF)を購入します。これらは一つの会社、つまり個別株とは異なり、多くの会社の株をまとめて購入できるお買い得パックみたいなものです。
運用会社がこのお買い得パックを考案・運用し、販売会社(証券会社)がお金を管理し、投資家達が資金を出し合う。これが投資信託の仕組みです
つまりお買い得パックの内の一つの会社が暴落しても、お買い得パック全体としては暴落の影響は最小限に済むということになります。逆に一つの会社が暴騰しても全体としてはあまり上がらないというデメリットもあります。しかし投資においてはいかにダメージを少なくするかを重視すべきであり、その対応策が分散ということになります。ステータスを全振りした○○特化キャラは個人的には好きですが、一瞬でHP(投資額)が0になってしまったら泣くに泣けないと思います。
短期投資と長期投資の違い
短期投資はハイリスク・ハイリターン、長期投資はローリスク・ローリターンと言われていますが、具体的にはどう違うのでしょうか。この違いは投資する対象が異なっています。
短期投資はその会社の実力以上に、その時の時世や世界・経済状況の影響が考慮されます。例えばコロナ禍によって自宅での食事が増えたためスーパーの株価が上昇したり、テレワークの普及によってサイバー関連の株価が急上昇したのはコロナという外部要因の影響が大いにあります。他にも2021年7月に起きた中国の塾規制(既存の塾の非営利団体への移行強制)によって、中国の関連企業の株価は一気に下がりました。これは国の政策によるものと言えます(というより国策の犠牲ですね)。もちろん新商品の開発等の企業努力・成長が要因になるケースもあります。
このように会社以外の要素も大きく影響を受けるため、急に上がりもすれば下がりもする高リスク=高リターンな投資と言えます。まさに”時価”です。
長期投資は数十年後の株価を見るため、短期的な変動は考慮しません。その会社、もしくは投資信託という複数の会社の成長を見据えるのが長期投資です。ほとんどの会社は急激に成長することはありませんので、徐々に成長していきます。これがローリスク・ローリターンと言われる所以です。また、上記のように短期間では会社の成長以外の影響を強く受けるため、早期の売却・損切りはNG(というより長期投資の目的を間違えている)です。
長期投資がもてはやされる理由&必勝法ではない理由
では何故長期投資がどのメディアでも強く推されるのでしょうか。それは長期に見れば株価は右肩上がりだからです。
右肩上がりで有名なのはアメリカの株価指標となるS&P500です。S&P500とはS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している指標であり、米国の代表的な企業500社から算出されるものです。このS&P500の過去データに対して長期投資(20年以上)行った場合、いつから始めても損失がないというデータが存在します。そのため、淡々と長期投資をしていこうと証券会社だけでなく、銀行や政府からももてはやされていますが、この資産運用方法は間違いなく最適解だと思います。少なくとも高リスクを避けたい人にとっては有用と言えます。
しかし、「必勝法」と言ってしまいますとそれは違うと言わざるを得ません。必勝法とは言えないいくつかの例を挙げていきます。
今後も株価が右肩上がりとは限らない
そもそもとして、株価が右肩上がりである、が大前提です。しかしこの前提も絶対ではありません。今後アメリカが落ちぶれていく可能性だってあります。ただし、世界経済が落ちぶれていくような状況で、日本円(つまり貯金)だけが無事だとは全く思えません。
分散という観点からも、多少は金融資産を保有しておくべきですな
保有する株を見極めなければならない
保有する株(投資信託ならファンド)は注意して選ぶ必要があります。例えばS&P500に投資するという場合、今後もアメリカは成長していくと予想しているという意味になります。このようにどの国の企業なのか、どんな分野の企業なのかを調べ、理解する必要があります。内容を知らないまま投資し続けるのは無理だと私は思います。
また、信託報酬(=手数料)が高いものやレバレッジのファンドは長期投資には不向きです。レバレッジについては別記事を参考ください。
参考記事:楽天レバレッジNASDAQ-100登場!投資対象としてはあり?
短期間であれば株価が下がる可能性が高い&暴落は避けられない
短期間の投資は様々な要因が絡むので資産が減る可能性が高いです。また長期間投資をしていれば○○ショックと呼ばれる暴落に確実に巻き込まれます。このような状況になって資産がマイナスになってもいつかは戻ることを信じて投資し続ける鋼のメンタルが必要です。
ゴールをどうするかを考える必要がある
何度も書いていますが、途中で損切りするのはNGです。しかし長期間の投資を終えた後、増えた(であろう)資産をどう取り扱うかを考えなければ勝利とは言えません。そもそも勝敗なんて人それぞれですが。。。
ゴール時の取り扱いはいくつか選択肢があります
- ゴール時に暴落していたからしばらく放置する
- 一気に現金化する
- 少しずつ現金化する
このようにどれが正解ともはっきりと言えない選択肢であるのに、必勝法と言って誘導するのはいかがなものかと思います。
最後に
投資に必勝法はありません。しかしその人のリスクにあった最適解はあります。少なくとも長期投資は多くの人が該当する最適解の一つと言えます。注意点はいくつもあるので、きちんと理解した上で少額から始めてみましょう。投資は自己責任で!
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